【おうち英語】日常で使える英語語りかけフレーズ&効果的な使い方

目次

小5の英語発表でつまずかないために!日常で親子一緒に英語を自然に使うコツ

はじめに

「小学校英語で、子どもがつまずいてしまったらどうしよう…」

英語教育が必修化されてから、多くの保護者がこんな不安を抱えています。特に、発表やスピーキングといった「アウトプット」が求められる場面では、練習不足や英語に対する苦手意識から、子どもたちが困難を感じやすいのが現状です。

文部科学省のカリキュラムによると、小学校の英語授業時間は年間70時間程度。この限られた時間内で、聞く・話すスキルを効果的に身につけるのは難しいと言われています。加えて、子どもたちの約35%が「英語が嫌い」と感じているという調査結果もあります(ベネッセ教育研究所)。英語が「特別なもの」として扱われる環境が、この苦手意識を強めているのかもしれません。

ですが、家庭で「おうち英語」を取り入れることで、この壁を乗り越える方法があります。おうち英語とは、日常生活の中で親子が一緒に英語を使う習慣を作ること。実は、英語は学校の授業だけで学ぶものではなく、家庭で楽しみながら触れることで自然に身につくスキルなのです。

私自身、小学校英語教師として延べ1,600人以上の子どもたちをサポートしてきました。その中で感じたのは、家庭での英語環境が子どものスピーキング力に大きな影響を与えるということです。例えば、英語が日常の一部として使われている家庭の子どもたちは、学校での英語発表でも自信を持って臨むことができています。 この記事では、元小学校英語教師であり、おうち英語の実践をサポートしてきたプロの視点から、以下の内容をお伝えします。

  • 子どもが英語発表でつまずきやすい理由と、その背景
  • 家庭で英語を自然に取り入れるメリット
  • 忙しい家庭でも続けられる、具体的な英語語りかけフレーズ

英語は特別な才能が必要な教科ではありません。日常生活に溶け込ませることで、親子で一緒に楽しみながら成長できるものです。この記事を読み終えるころには、おうち英語を始める第一歩を自信を持って踏み出せるようになります。一緒にお子さんの「英語が楽しい!」を育てていきましょう!

小5で英語発表につまずく理由

1,現状の課題

小学校英語では、5年生からスピーキングやライティングが本格化し、6年生でもさかんに発表やスピーチテストが行われます。しかし、文部科学省が示す年間英語授業時間は約70時間で、週1~2回の授業に相当します。

一方、第二言語の習得には「2,000~3,000時間のインプット」が必要とされ、学校の授業だけで十分な学習時間を確保するのは難しいのが現状です。この限られた時間の中で発表の準備を進めるのは容易ではなく、多くの子どもたちが不安を抱えたままテストに臨んでいるのです。

家庭での英語環境が欠けている場合、学校だけでスピーキングスキルを伸ばすのはさらに難しくなります。こうした状況が、小学校高学年の英語発表への苦手意識を引き起こしている主な原因のひとつです。

2,つまずく理由

アウトプット不足

小学校では、パフォーマンステストが行われます。パフォーマンステストとは、学校で行われる「英語を使った発表やスピーキングのテスト」のことです。子どもが自分の言葉で英語を話したり、ALT(外国語指導助手)や先生と会話したりする場面が含まれます。

小学校では次のようなパフォーマンステストが実施されています

  • 日本の行事紹介(小5)
  • 自分のあこがれの人紹介(小5)
  • 行ってみたい国についての発表(小6)
  • 小学校での思い出の発表(小6)

これらのテストはスピーキング力を求めますが、日常的に英語を使う場が少ない子どもたちにとっては準備不足で挑むことがほとんどです。その結果、「何を話せばいいのかわからない」「正しく話せる自信がない」と感じる子どもが多くなります。

間違いへの恐れ

日本の教育文化では「正しい答え」が求められることが多く、子どもたちは「間違ったら恥ずかしい」「発音を笑われたらどうしよう」といった不安を抱えがちです。このような心理的なプレッシャーは、英語を話すことへの抵抗感を高めています。

英語を特別視する風潮

日本では英語が「勉強の教科」として扱われがちで、日常的に使う機会が少ないため、英語を特別なものと感じる子どもも多いです。このため、英語での発表やスピーチが突然「高い壁」として立ちはだかり、苦手意識を強める原因になっています。

小学校の英語教育では、限られた授業時間内でアウトプットを求められる一方、家庭や社会で英語に触れる機会が不足していることが、発表でのつまずきにつながっています。英語を「特別なもの」ではなく、「日常の一部」として親子で楽しむことが、こうした課題の解決に役立ちます。

英語を日常に取り入れるメリット

1,自然な習得

言語習得研究で有名なスティーブン・クラッシェンの「インプット仮説」によると、子どもが新しい言語を習得するためには、意味のある「聞く経験」が必要です。特に幼少期の子どもは、文法のルールを学ぶよりも、親が自然に使う英語を耳にすることで、リズムやイントネーションを無意識に習得します。

例えば、朝に親が「Good morning!  Did you sleep well?」と挨拶したり、遊びながら「What color is this?」と尋ねたりするだけで、子どもの脳は英語の音や使い方を学んでいきます。

このような「意味のある英語のシャワー」は、英語を「勉強するもの」ではなく「楽しい会話の一部」として受け入れるきっかけになります。親の英語が完璧でなくても問題ありません。子どもは楽しそうに使われている英語を聞くことで、自然と新しい言葉を身につけることができます。

2,話すことへの抵抗感の軽減

英語を家庭で日常的に使うもう一つのメリットは、「話すことへの抵抗感」が減ることです。日本の教育文化では、正確な答えを求める傾向が強く、子どもたちは「間違ったら恥ずかしい」「笑われたらどうしよう」といった不安を抱きやすいです。しかし、家庭での英語は評価やプレッシャーの場ではありません。親が英語を使うことで、子どもも自然と英語を使いたいと思うようになります。

例えば、小1のお子さんが「What would you like?」「I’d like an apple, please.」と自然に注文ごっこを始めたというエピソードがあります。この家庭では、親が普段から簡単な英語フレーズを使っていたため、子どもが英語を話すことに抵抗を感じなかったのです。

また、親が「完璧でなくてもOK」という姿勢を見せることも大切です。研究によると、親が子どもの学習にポジティブな態度で取り組むと、子どもの学習意欲や自信が向上することがわかっています(Gardner, 1985)。親子で「間違いを恐れず楽しむ」環境を作ることが、英語学習の第一歩です。

3,親子の絆の強化

英語を日常生活に取り入れることは、親子のコミュニケーションを深める素晴らしい方法でもあります。特に、絵本の読み聞かせや歌、ゲームなどを英語で行うと、親子での特別な時間が増えます。英語が「勉強」ではなく「一緒に楽しむもの」になることで、子どもにとっても良い思い出として残るでしょう。

例えば、寝る前に英語で自己紹介をする習慣を始めた親子のケースでは、子どもが「Hello, my name is…」と楽しそうに話すことで、英語が自然に生活の一部になりました。また、親が「You’re doing great!(すごいね!)」と褒めることで、子どもの自己肯定感も高まります。

さらに、親子で英語を取り入れる時間は、家庭のルーティンを楽しく彩る効果もあります。朝の挨拶やお片付けの声かけ、遊びの時間に「Let’s play!」といった簡単な英語を使うだけで、子どもは「英語って楽しい!」と感じることができます。英語を使った時間が増えるほど、親子の会話も広がり、子どもの英語力と親子の絆が一緒に深まっていくのです。

英語を日常に取り入れることは、自然な習得を促し、話すことへの抵抗感を減らし、親子の絆を強める大きなメリットがあります。「完璧」を求めず、簡単なフレーズから始めて、親子で一緒に英語を楽しむ環境を作りましょう!

日常で使える英語語りかけフレーズ

1,シチュエーション別フレーズ

日常生活の中で、親子が自然に使える英語フレーズをシチュエーション別にご紹介します。どれも簡単で使いやすい表現ばかりなので、無理なく取り入れられます。

朝の時間
起きたとき

“Good morning! Did you sleep well?” (おはよう!よく眠れた?)
“It’s time to get up!” (起きる時間だよ!)

準備を促すとき

“Let’s brush your teeth.” (歯を磨こう。)
“What do you want to wear today?” (今日は何を着たい?)

急いでほしいとき

“Hurry up! We’re running late.” (急いで!遅れちゃうよ。)
“Put on your shoes!” (靴を履いてね!)

食事の時間
食事の準備

“Let’s set the table.” (テーブルを準備しよう。)
“Can you help me with the plates?” (お皿を運んでくれる?)

食事中

“What do you want to eat?” (何が食べたい?)
“Do you like it?” (これ好き?)
“Yummy! This is delicious.” (おいしいね!これすごくおいしいよ。)

片付けを促す

“Let’s clean the table.” (テーブルを片付けよう。)
“Can you put your plate in the sink?” (お皿を流しに置いてくれる?)

お片付けの時間
片付けを始めるとき

“Let’s clean up together!” (一緒に片付けよう!)
“Where does this go?” (これはどこにしまうの?)

子どもに手伝いをお願いするとき

“Can you put the toys in the box?” (おもちゃを箱に入れてくれる?)
“You’re doing a great job!” (すごいね!よくできてるよ。)

遊びの時間
一緒に遊ぶ提案

“Let’s play together!” (一緒に遊ぼう!)
“What do you want to play?” (何をして遊びたい?)

ゲームをする際のフレーズ

“It’s your turn now.” (次は君の番だよ。)
“You win!” (君の勝ち!)

外遊びで使えるフレーズ

“Let’s go to the park!” (公園に行こう!)
“Do you want to play on the swings?” (ブランコで遊びたい?)

寝る前
寝る準備

“It’s time to take a bath.” (お風呂に入る時間だよ。)
“Put on your pajamas.” (パジャマを着てね。)

絵本の時間

“Let’s read a story.” (お話を読もう。)
“Which book do you want to read?” (どの本を読みたい?)

おやすみの挨拶

“Good night! Sweet dreams.” (おやすみなさい!いい夢を見てね。)
“See you tomorrow!” (また明日ね!)

2,使い方のヒント

英語語りかけを始めるときは、完璧を目指さず、短いフレーズから始めるのがおすすめです。「おはよう」「おやすみ」といったあいさつや、「これ好き?」など日常で自然に使える言葉から取り入れると、親子ともに無理なく続けられます。

また、同じフレーズを繰り返し使うことで、子どもは自然と覚えるようになります。例えば、毎朝「Good morning!」と声をかけ続けるだけで、子どもも自然と英語で「Good morning!」と返せるようになるでしょう。

さらに、フレーズにジェスチャーや動作を加えると、子どもが意味を直感的に理解しやすくなります。例えば、「Put on your shoes.」と言いながら靴を指さすと、子どもは言葉と行動を結びつけて覚えやすくなります。

まずは、親が楽しむ姿を見せることが大切です。楽しみながら英語を取り入れることで、子どもも英語を「楽しいもの」として受け入れていくでしょう。

実践例:おうち英語で親子の英語力が伸びたエピソード

1,Aさん親子の例

Aさん親子は、おうち英語を取り入れてわずか2ヶ月で親子の会話が自然に英語になり始めました。もともと英語が得意ではなかったAさんですが、「子どもに楽しく英語を身につけてほしい」という思いから、日常の中に簡単な英語フレーズを取り入れることを決めました。

最初に始めたのは「注文ごっこ」でした。ある日、あそびながらお子さんが「What would you like?」とAに聞き、Aさんは少し考えてから「I’d like a hamburger, please.」と返答。「How much is it?」「It‘s ~ yen.」とお会計のやりとりまで、やっていました。これにはAさん自身も驚きました。「レッスンで習った表現を、家庭でこんなにスムーズに使えるなんて!」と感動したそうです。

その後、公園遊びの中で妹さん(5歳)が突然「1から50まで」英語で数え始めたエピソードも印象的です。お姉さんがAさんとの英語のやりとりを楽しむ様子を見て、妹さんも真似をしてアウトプットを始めたとのこと。特に印象的だったのは、シーソーで遊んでいる最中に妹さんが「One, two, three…」と数え続けたこと。子どもは環境さえ整えば、自分のペースで自然に英語を使うようになると実感したそうです。

Aさんは「私自身が英語が苦手で、子どもたちのアウトプットがなかなか出るようにならないと思っていたけれど、親子で楽しみながら英語を使うだけでこんなに変わるんだと驚きました」と語っています。

2,Bさん親子の例

Bさんは、小学校に入学したタイミングで「英語を続ける意味がわからない」とお子さんが言い出し、悩んでいました。そこで、私の講座を受講して下さいました。受講してわずか2週間後、お子さんが自分から「Hello, my name is…」と自己紹介を始め、さらに「How are you?」と親に英語で質問を投げかけてくるようになったのです。

Bさんは、「子どもが英語を学ぶこと自体に抵抗を感じていたのに、自分から英語を使い始めるなんて本当に驚きました。」と話してくれました。

このように、無理なく楽しく英語を取り入れるだけで、子どもが自発的に英語を使うようになるのは、親にとっても大きな喜びです。

3,成功のポイント

これらの家庭に共通する成功のポイントは、以下の3つです。

英語を楽しむ環境を作る

英語を「勉強」ではなく、「遊びや日常の一部」として取り入れることで、子どもが抵抗なく英語に触れられるようになっています。

完璧を目指さない

発音や文法にこだわりすぎず、親子で楽しむ姿勢を持つことで、子どもが自由にアウトプットできる環境が整っています。

継続的に取り組む

日常のルーティンとして取り入れることで、英語を使う時間が自然と増え、子どもが自分のペースで学ぶ機会が広がっています。

親が「完璧でなくてもいい」という心構えで取り組むことで、子どもは安心して英語を楽しむことができるのです。これこそが、おうち英語の最大の魅力ではないでしょうか。

英語語りかけを続けるコツ

1,短いフレーズから始める

英語語りかけを続けるための最初のステップは、「短いフレーズから始める」ことです。特に忙しい家庭では、完璧を求めるよりも、気軽に英語を取り入れることが重要です。

例えば、朝の「Good morning!」や寝る前の「Good night!」など、生活の中で自然に使えるフレーズから始めましょう。これなら準備も必要なく、日常の流れの中で簡単に取り入れることができます。また、「What’s this?(これ何?)」のような子どもの好奇心を引き出す一言もおすすめです。

さらに、親が覚えたフレーズを毎日繰り返し使うことで、子どもも自然にその言葉を覚えていきます。例えば、「Let’s clean up.(片付けしよう)」を習慣化すれば、子どもは片付けの時間にそのフレーズを聞くたびに英語と行動を結びつけるようになります。短いフレーズであれば、親も負担に感じず無理なく続けられるので、ぜひ取り入れてみてください。

2,完璧を目指さない

英語語りかけを続ける上で大切なのは、「完璧を目指さない」という姿勢です。親自身が「発音が正しくない」「文法が間違っているかもしれない」と悩むと、せっかくの学びの機会が減ってしまいます。

実際、子どもが英語を習得する際に大切なのは、正確さよりも「聞く機会が多いこと」「楽しいと思うこと」です。たとえ親の発音がネイティブのようでなくても、子どもは音や表現を吸収し、学校や他の場面で自分なりの発音に調整していきます。

また、子どもの発言を訂正するよりも、「You’re doing great!(すごいね!)」と褒めることで、子どもは自信を持ち、英語を使うことに前向きになります。例えば、「I goed to the park.(公園に行った)」と言った場合でも訂正する必要はありません。むしろ「That’s great! You went to the park! What did you do at the park?(それはいいね!公園に行ったんだね!公園で何をしたの?)」と自然と訂正しながら会話を広げてあげると良いでしょう。

親も子どもも「完璧でなくていい」という心構えを持つことが、英語語りかけを続ける最大の秘訣です。

3,ルーティン化する

英語語りかけを無理なく続けるためには、「家庭のルーティン」に組み込むことが重要です。特別な時間を設けるのではなく、毎日の生活の中に自然に取り入れることで、無理なく続けられるようになります。

例えば、毎朝の挨拶を英語にするだけで、1日のスタートが英語に触れる機会になります。「Good morning!」や「Let’s get ready for school.」など、決まった時間に決まったフレーズを使う習慣を作ると、親も子どもも負担なく続けられます。

また、食事の時間に「What do you want to eat?」や「Do you like it?」といったフレーズを使うのもおすすめです。これなら、子どもは日常の会話の中で英語を自然に身につけることができます。

さらに、寝る前の時間に英語の絵本を読み聞かせたり、簡単な自己紹介をしたりする習慣を作ることで、英語を楽しむ時間を家族全員で共有できます。こうしたルーティンは、英語が「特別なもの」ではなく、「日常の一部」として感じられるようになる効果があります。

英語をルーティン化することで、忙しい家庭でも無理なく続けることができ、子どもにとっても自然な形で英語を楽しめる環境が作れます。

まとめ

英語は親子で楽しもう

英語は「勉強するもの」と考えるとハードルが高く感じられますが、「親子で楽しむもの」と捉えることで、家庭に自然に取り入れることができます。この記事では、英語を日常生活に取り入れるメリットや、続けるための具体的な方法についてご紹介しました。

小5で英語発表につまずく理由

学校の限られた授業時間だけでは、アウトプットの機会が不足しがちです。特に「話すテスト」や発表は、英語を日常で使う習慣がない子どもにとって大きな壁になりがちです。

英語を日常に取り入れるメリット

自然に英語を身につけるだけでなく、英語を話す抵抗感を減らし、親子の絆を深めることができます。

日常で使えるフレーズと実践例

短いフレーズを取り入れるだけで、親子で英語を楽しむ習慣を作ることが可能です。Aさん親子の「注文ごっこ」やBさん家庭の「寝る前の自己紹介」など、具体例も参考にしてください。

続けるためのコツ

短いフレーズから始めて、完璧を求めず、日常生活に溶け込ませることで、無理なく続けられます。

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この記事を書いた人

おうちキッズ英語 代表
元小学校英語教師。6年間のべ1600人以上に指導。
公立小学校で担任を経験したのち、英語専科教員となる。
現在は1人娘を育てながら、お子さんを英語好きにしたい親御さん向けに
オンラインレッスンをしている。

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