
フォニックスをやっているのに読めないのは珍しくありません
「フォニックスの動画も見せているし、教材も使っている。なのに、子どもが初めて見る単語を読めない」
個別相談で、本当によくいただくお悩みです。
結論からお伝えします。
フォニックスをやっているのに読めないのは、お子さんの努力不足でも、才能がないわけでもありません。多くの場合、フォニックスの「取り組み方」に原因があります。
元公立小学校英語教員として、これまで延べ3,000人以上の子どもたちを見てきましたが、「フォニックスをやっているのに読めない」子には、共通する5つのつまずきパターンがありました。
この記事では、その原因と、家庭でできる対策を具体的に解説します。
フォニックスをやっているのに読めない5つの原因
ポイントは3つ、と言いたいところですが、今回は特につまずきやすい5つに絞ってお伝えします。
原因① 動画やアプリをランダムに見ているだけになっている
YouTubeやアプリでフォニックスの動画を見せている家庭は多いと思います。
ですが、
- 今日は「s」の動画
- 明日は「ch」の動画
というように、順番を気にせずランダムに見ていると、なかなか力がつきません。
フォニックスは、
- まず基本の音(s, a, t, i, p, n など)を覚える
- その音を組み合わせて読む練習をする
- 少しずつ複雑な音(2文字で1つの音になるものなど)に進む
というように、体系立てて順番に進めることで初めて効果が出る学習です。
バラバラに見ているだけでは、子どもの中で音のルールが整理されず、「知っている音」と「読める単語」がなかなか結びつきません。
原因② 発音のポイント(口の形・舌の位置)を教わっていない
もう一つ多いのが、音そのものの出し方を教わっていないケースです。
日本語にない音は、日本人の子どもにとって特に難しく感じます。
例えば、
- 口の形
- 舌の位置
- 息の出し方
こうしたポイントを丁寧に教えてもらえる環境がないと、音を聞き分けたり、正しく発音したりすることが難しくなります。
ネイティブの先生から、口の形や舌の位置をわかりやすく教えてもらえる機会があるかどうかは、実はとても大きな差になります。
原因③ 音を知る前に、いきなり書く練習に進んでしまっている
フォニックス教材の中には、音を十分に聞き分けられるようになる前に、ライティング(書く練習)に進んでしまうものもあります。
初心者の小学生にとって、これはハードルが高すぎることがあります。
まず必要なのは、
- 音を聞く
- 音を真似る
- 音と文字を結びつける
という土台です。この土台が整う前に書く練習を始めると、音がずれたまま進んでしまい、あとで直すのに時間がかかります。
原因④ 似ている音の違いが曖昧なまま進んでいる
英語には、日本語にはない「似ているけれど違う音」がたくさんあります。
例えば、
- 「a」と「u」の音
- 「r」と「l」の音
これらは日本人の耳には似て聞こえがちですが、実際は別の音です。
こうした音の違いを丁寧に扱わないまま進んでしまうと、読み方や発音があいまいなまま定着してしまい、あとから直すのが大変になります。
原因⑤ 音を「知っている」だけで「操作する力」が育っていない
そして、これが一番見落とされがちな原因です。
フォニックスで音を覚えても、その音を「つなげたり」「分けたり」する力が育っていないと、読んだり書いたりすることはできません。
- ブレンディング:c・a・t の音をつなげて「キャット」と読む力
- セグメンティング:「キャット」という音を c・a・t に分ける力(書くときに必要)
音をただ知っているだけ、しかもランダムに知っているだけでは、この「操作する力」が育ちません。
読む・書くためには、知っている音を実際に使いこなす練習が欠かせないのです。
フォニックスとは何か、あらためて整理します
フォニックスとは?
文字と音のルールを学ぶ学習法です。「a」という文字を見たら「ア」の音、というように、文字と音の対応を体系的に学びます。
日本語はひらがなを覚えれば初めて見る言葉でも読めますが、英語はこのルールを知らなければ、初めて見る単語を自分で読むことができません。
だからこそ、フォニックスは英語の読み書きの土台になります。
ただし、この記事でお伝えしたいのは「フォニックスさえやれば大丈夫」ということではありません。フォニックスを、順番通り・体系的に・操作できるレベルまで取り組むことが大切だということです。
家庭でできる3つの対策
対策① 順番通り・体系的に進める
まずは、今取り組んでいる教材や動画が、順番通りに進められる作りになっているかを確認してみてください。
ランダムに見せるのではなく、
- 基本の音から順番に
- 前の音が定着してから次に進む
という流れを意識するだけでも、大きく変わります。
対策② 発音のポイントを意識して聞く・真似る
家庭では難しい部分もありますが、可能であれば、口の形や舌の位置を教えてもらえる環境を探してみてください。
動画を見せるだけでなく、
- 一緒に口の形を真似てみる
- 似ている音を聞き比べてみる
といった関わりも、音の違いへの気づきにつながります。
対策③ ブレンディングとセグメンティングを練習に取り入れる
音を覚えたら、そこで終わりにせず、
- 覚えた音をつなげて読む練習(ブレンディング)
- 聞いた単語を音に分ける練習(セグメンティング)
をセットで取り入れてみてください。
「知っている」を「使える」に変える、一番大切な練習です。
実際にあった相談事例
以前、フォニックスの動画をよく見せているというご家庭からご相談をいただきました。
音は結構知っているはずなのに、初めて見る単語になると読めない、というお悩みでした。
詳しく伺うと、動画はランダムに見ていて、順番立てて進めたことがないとのこと。また、覚えた音をつなげて読む練習は、ほとんどしていませんでした。
そこで、音を順番に整理しながら、つなげて読む練習を少しずつ取り入れていきました。
すると、初めて見る単語にも「読んでみようかな」と挑戦する様子が見られるようになり、保護者の方からも「読める単語がどんどん増えました」というご報告をいただきました。
音を知らなかったのではなく、音を使う練習が足りていなかっただけだったのです。
まとめ
フォニックスをやっているのに読めない主な原因は、次の5つです。
- 動画やアプリをランダムに見ているだけになっている
- 発音のポイント(口の形・舌の位置)を教わっていない
- 音を知る前に、いきなり書く練習に進んでしまっている
- 似ている音の違いが曖昧なまま進んでいる
- 音を「知っている」だけで「操作する力」が育っていない
多くのお子さんは、フォニックスができていないのではなく、取り組み方が体系立っていないだけです。
順番・音の理解・操作する力、この3つを意識するだけで、読める単語は着実に増えていきます。焦らず、お子さんに合ったペースで進めていきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. フォニックスとは何ですか?
A. 文字と音のルールを学ぶ学習法です。文字と音の対応を体系的に覚えることで、初めて見る単語も自分で読めるようになります。
Q2. フォニックスをやれば必ず読めるようになりますか?
A. 音を順番通り・体系的に学び、さらにその音をつなげる練習(ブレンディング)まで行うことが必要です。音を知るだけでは、読む力にはつながりにくいです。
Q3. 何歳からフォニックスを始めるべきですか?
A. 小学生から始めるのがおすすめです。小学校高学年からでも十分間に合います。大切なのは年齢よりも、順番と体系性です。
Q4. ブレンディングとセグメンティングとは何ですか?
A. ブレンディングは音をつなげて読む力(例:c・a・tを「キャット」と読む)、セグメンティングは音を分ける力(「キャット」をc・a・tに分ける)です。読み書き両方に必要な力です。
Q5. 英語教室に通っているのに読めないのはなぜですか?
A. 会話中心のレッスンでは、文字と音のルールを体系的に扱わないことがあります。フォニックスを順番立てて学ぶ機会が別途必要な場合があります。
Q6. ローマ字読みになってしまうのはフォニックスと関係がありますか?
A. 関係があります。フォニックスのルールが十分に定着していないと、慣れているローマ字の読み方に頼ってしまうことがあります。
Q7. 家庭でできることはありますか?
A. 今の教材や動画が順番通りに進む作りになっているか確認すること、覚えた音をつなげて読む練習を取り入れることから始められます。
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元小学校英語教員として、これまで3,000人以上の子どもたちを見てきましたが、英語は順番がとても大切です。
焦らなくて大丈夫です。
お子さんに合ったペースで、一緒に進んでいきましょう。
